特   集


 実質、形式とも15メートル以下遵守の指導を
     
―北鎌倉の景観で鎌倉市長に要望―


石渡徳一鎌倉市長殿
北鎌倉の景観に関する要望
2003年11月20日
北鎌倉湧水ネットワーク代表・野口 稔

 北鎌倉では現在、六国見山を中心に、景観に大きな影響を与える複数のプロジェクトが進行中です。北鎌倉の景観の大きな特徴は、歴史的な遺産と緑の調和にあると考えます。そして、この景観は「公共財」のような価値を持っており、私たちは、この景観を保全し、後の世代に伝える義務があるのではないかと考えております。こうした観点から、下記の要望をまとめました。御配慮のほど、よろしくお願い致します。

【1】「六国見山森林公園」に関する要望

(1)トイレの整備
 近年、六国見山への登山者の数が増えています。しかし、六国見山にはトイレが一つもありません。登山者が困っています。適切な場所へ、早急にトイレの設置をお願いします。

(2)山頂の桜の枝払い
 数年前までは六国見山山頂から富士山や丹沢の山並み、夕陽を見ることができました。しかし、最近は桜の木の枝が視界を遮ってしまっています(添付写真を御覧ください)。鎌倉市ではさまざまな場所から富士山を眺めることができますが、六国見山山頂はベストポジションの一つだと考えます。山頂の景観、そして山頂からの眺望との調和を考慮の上、桜の枝払いの検討をお願いします。
 添付写真説明
 1 かつては富士山が望めた(六国見山山頂)
 2 今は桜の枝で富士山が見えない(六国見山山頂)

(3)杉林の間伐と山の手入れ
 六国見山に植林された杉の木が成長したのに伴い、木と木の間隔が狭まり、ものすごく窮屈になっています(添付写真を御覧ください)。間伐が必要と考えます。また、六国見山はもともとが里山ですので、人間の手入れが必要です。しかし、放置されたままなので、山が荒れ放題になり、植生も変化しています。杉林の間伐と山の手入れの検討をお願いします。実施に当たっては、鎌倉市の担当セクション、風致保存会、市民団体が協力することも一つの方法だと考えます。
 添付写真説明
 3 間引きが必要と思われる杉林(六国見山・高野台住宅地寄り)
 
【2】巨大特別養護老人ホーム建設計画に関する要望
 既に宅地開発工事が終了、宅地販売中の六国見山麓の「台の杜」と、宅地開発工事が最終局面に入った六国見山中腹の長窪地区の中間に位置する緑地に特別養護老人ホームを建設しようとする計画が、高野台自治会に提示されました。提示された計画は1万3400平方メートルの敷地に、1万1300平方メートルの大規模な特別養護老人ホーム(全長約200メートル、実質4階建て、150床前後))となっています。
 建設予定地となっている緑地は通称「ゴンベイ山」と呼ばれています。鎌倉市は一九九六年に策定した「緑の基本計画」のなかで、ヒートアイランド化防止、安全な都市空間の形成、都市景観の形成などの観点から、「永続的に保存すべき緑地」としているはずです。従って、この計画は景観及び自然環境を破壊するだけでなく、鎌倉市が目指すまちづくりを阻害するものだと考えます。事業者に適切な指導をお願いします。

【3】小泉邸跡地マンション建設計画に関する要望
 北鎌倉の小泉邸跡地にマンション建設を予定している山田建設は、2003年11月11日、近隣住民への説明会で、5階建てのマンション建設計画を提示しました。配付された資料には「最高高さは14.80メートル」と明記されていますが、これは平均地盤面を基準にしたものです。鎌倉街道を基準にしてはかると「最高高さは16.05メートル」となっており、鎌倉市の指導基準である15メートル以下におさまりきっていません。このまま5階建てのマンション建設を認めれば、鎌倉市の指導基準の形骸化につながると考えます。
 鎌倉市の指導基準は歴史、風土を考慮した鎌倉らしい街並みを保全するために作成されたものだと聞いています。さらにマンション問題に取り組んでいる関係者の間では、高さを15メートル以下とした鎌倉市の指導基準は先駆的な施策として、高く評価されています。15メートル以下といえば、4階建てまでというのが常識だと思います。指導基準作成の原点に立ち返り、実質と形式の両面から、15メートル以下とするよう事業者を指導してください。


 回答はできれば2003年12月15日までにお願い致します。要望と回答を2004年1月に北鎌倉湧水ネットワークのHPに掲載する予定です。

 *行き違いがあり、鎌倉市長への要望の正式受理が2003年12月19日になりましたので、回答が遅れています。要望と回答を同時掲載する予定でしたが、要望を先行掲載し、回答は到着次第、できるだけ速やかに掲載します。
(了)

1.かつては六国見山山頂から富士山が望めた
2.今は桜の枝で山頂から富士山が見えない
3.間引きが必要と思われる六国見山の杉林

 

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