特   集


 20メートル超す建設禁止!―マンション建設訴訟で名古屋地裁―


 

 景観権を初認定した昨年の国立マンション訴訟判決の流れに沿った判決が、このほど名古屋地裁で出た。北鎌倉の景観の保全運動に取り組んで、ほぼ7年となる。朗報である。こうした流れが定着することを期待したい。

▽景観は高層マンションの引き立て役ではない
 共同通信社は2003年4月1日に「20メートル超す建設禁止決定 名古屋のマンションめぐり」という見出しのついた記事を配信した。記事の要旨は「江戸時代の武家屋敷の町並が残る名古屋市東区の白壁地区で、高さ30メートルの高層マンションを建築している積水ハウスに対し、地区住民が、都市景観を破壊するとして高さ20メートルを超える部分の建設禁止の仮処分を申請していた問題で、名古屋地裁の早川真一裁判官は1日までに住民側の申請を全面的に認める決定を出した」というもの。
 住民側代理人の弁護士は「国立マンション訴訟判決と流れを同じにしており、画期的な決定だ」だと評価しているという。
【参考】
1 国立マンション訴訟で景観権初認定 景観保全運動に大きな励み
http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/5/2003/1.html

2 Re:国立マンション訴訟で景観権初認定
http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/5/2003/4.html

 共同の記事によると早川真一裁判官は「地域に外から参入する場合は、地域の伝統や重要なルールを尊重することは当然の要請。落ち着いた町並みや景観とは、低層の建物であることが最も中核的な要素。町並みや景観は高層マンションの引き立て役ではない。一度建てられてしまうと、業者による開発の歯止めがなくなる恐れが高い」と指摘した。実に明快な判決理由である。自分の気持ちを代弁してくれているようで、すかっとした。

▽北鎌倉マンション問題の経緯
 前回の特集「北鎌倉一の白モクレン、今春で見納め?」で、北鎌倉のマンション建設問題の経緯を書いたが、あらためて触れておく。
 昨年秋、事業主の山田建設(本社、東京都大田区)は、北鎌倉らしい街づくりを目指している「北鎌倉まちづくり協議会」(坂田庄次代表幹事、http://www.kitakamakura.org/)に、競売で取得した小泉邸を中心としたかつての小泉さんの所有地に5階建て、50戸のマンション建設計画を説明した。
 これに対し、「北鎌倉まちづくり協議会」は(1)北鎌倉の歴史や景観に配慮した計画の立案(2)極力、住民の要望を取り入れる(3)4階建てを希望する(4)鎌倉街道側の白モクレンを保存してほしい(5)JR線路側の樫やイチョウの大木8本を保存する―など9項目の要望を提出した。
 この要望に対し、山田建設は今年1月16日付けで「北鎌倉まちづくり協議会」に文書で回答した。さらに3月15日の「北鎌倉まちづくり協議会」の定例会に出席し、回答文書を踏まえ、口頭でも説明した。説明の要旨は(1)鎌倉街道側の白モクレンは移植して保存する(2)JR線路側の大木はできるだけ残す(3)採算面への配慮し、5階建てではなく6階建て(高さ19メートル)とし、戸数も50戸を64戸に増やす―など。 

【参考】
 北鎌倉マンション建設問題で緊急アピール
―「地域の特性を無視」とまちづくり協議会―
http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/5/2003/6.html

▽住民と行政の意向を無視
 鎌倉市建築指導課は「マンション建設に関し、高さについては法的な規制はかけていない。しかし、15メートルを超える場合には鎌倉市長の諮問機関である「都市計画審議会」の答申を得る必要がある」としている。
 3月15日の「北鎌倉まちづくり協議会」の定例会の席上、山田建設は「都市計画審議会で、高さ19メートルが認められることもあり得る」と発言した。これは住民と行政の意向を無視した発言といわざるを得ない。同社は早川真一裁判官の判決理由が言わんとしていることをじっくりと噛みしめてほしい。
(了)



マンション訴訟の舞台になった東京都国立市の「大学通り」は、「日本一美しい大通り」と称されているが、1年を通じて、サク
ラの時期が特に美しい。私の住む北鎌倉及びその周辺もサクラが街並みに彩りを添えている。
ヤマザクラ、ソメイヨシノ、シダレザクラ
の競演(北鎌倉)
シダレザクラと藁屋根のある
民家(北鎌倉)
サクラの帯(鎌倉霊園)
夕陽とサクラ(鎌倉山)  サクラのトンネル(鎌倉逗子ハイランド)
 
  段葛(鎌倉・鶴岡八幡宮前)

 

 

 

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