オープンは1980年。店主は山端通和さん。かつて、大手電気メーカーのサラリーマンだった。いわゆる脱サラである。お店のコンセプトは珈琲と音楽をベースにした地元文化の発信基地。
山端さんのモットーは「モノはけちるが、文化はけちらない」。明月院から365歩の距離にある。周辺は閑静な住宅地だ。近くに住んでいる作家で精神科医のなだ いなださんも時々、顔を出す。北鎌倉に在住するクリエーターの「たまり場」でもある。
営業時間 10:00〜17:00
住 所 郵便番号247-0062 鎌倉市山ノ内215
電 話 0467-24-9756
Eメール meiteki@syd.odn.ne.jp
定休日 毎週水・木
臨時休業 コンサートなどへの出演のため臨時に休業する場合あり
▽店内に笛のコレクションが300点
「父と兄が46歳で亡くなった。私の残りの人生は少ないかも。ならば好きなように生きよう」。こう思って脱サラした。音楽一家だった。子どもの時から日々の生活に音楽があった。珈琲は友人から、徹底的に学んだ。
音楽のベースはフルート。現在はオカリナ。「安いし、誰でも手軽に演奏できる。音色が素朴で、音域が人間の声の範囲内にある」。定休日の木曜日には横浜、藤沢、平塚などへオカリナを教えに行く。店内の笛のコレクションはなんと300点。
▽コンサートとギャラリーを定期開催
地元文化の発信基地というだけあって、「第3土よう日コンサート」と「笛ギャラリー」を開催している。「第3土よう日コンサート」は、出演者による自主コンサートが中心だ。開演は午後6時半〜7時半ごろ。
「笛ギャラリー」は作家に、店内の壁を無料で作品を飾る場所として提供している。期間は1人、あるいは1グループ1ケ月。写真の撮影時には晏侶さん(生まれいづる期待と怖れ―晏侶展―http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/2/2003/110.html)の師匠である稲田吾山氏の「クレーワーク展」が開催されていた。
▽聞こえるのは音楽とせせらぎ
自らのコラム、コンサートやギャラリー情報などを掲載した「笛通信」というミニコミ誌を定期発行している。「笛人(ふえんど)」という「笛」の会員制度もある。年会費2000円。会員になると「笛通信」が毎月送られてくるほか、「笛」にある楽譜や「笛」の蔵書も利用できる。
木造りの店内にいると聞こえるのは、音楽とせせらぎのみ。時間の流れがゆっくりしている。というかまるで、止まってしまったかのような錯覚を覚える。
「今、生きていて楽しい。街を歩いているサラリーマンは、恐い顔をしています。サラリーマンをしていたから、その理由がなぜかよく分かります」
(了)
|