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 ◇「ア リッチョーネ」―地元の新鮮な食材にこだわる鎌倉の名店(イタリア料理) ◇

 鎌倉に来たら、是非一度は訪れてみたいイタリアンの名店である。地元の新鮮かつ安全な食材を使って、丁寧に作られた料理は、洗練された味で見た目も美しい。私は毎年、自分の誕生日は、このお店で家族と食事をすることにしている。誕生日月(事前にお店への申し込みが必要)に行くと、本人だけでなく家族にもスパークリングワインもしくはビールのグラスサービスが付く。店内は広く、客席は60席ある。まとまった人数にも対応できる。『スローフード宣言』をしている。急いでいる人には勧めない。鎌倉駅から歩いて約3分の場所にある。春は桜、つつじの花のトンネルが出来る段葛に面している。

□住所 鎌倉市小町2−12−30 BMビルB1
□電話 0467−24−5491
□HP http://www2.ocn.ne.jp/~riccione/
□ランチ 11:30〜16:00 (LO15:00)
□ディナー17:30〜22:30(LO21:30)
□定休日 水曜日(祝日の場合翌日)

▽夜の予算の目安は一人5千円
支配人・ソムリエは、鎌倉在住歴20年の飯田博之さん。都内のレストランで働いていたが13年前、オーナーから料理の腕とマネジメントの能力を見込まれて、声をかけられた。元々はフランス料理の料理人だった。「フランスで料理の修行をしていた時、休暇をもらってイタリアを旅行しました。その時、フランスよりイタリアの方が
、感覚的にしっくりくると思いました。気候、風土に恵まれたイタリアは、食材がすばらしいし、家族の絆が強く、暖かみを感じました」

アラカルトメニューが充実、昼、夜とも多数のメニューから自由に選べる。ランチメニューはAランチ 1365円、Bランチ 1890円、Cランチ 2625円の3種類。ディナーメニューに2名以上だと1人4725円の取り分けコース(温前菜を希望しなければ3990円)がある。ワインの種類も豊富だ。イタリアワインを中心に、フランス、チリ、アルゼンチン、スペイン、オーストラリアカリフォルニア、 ニュージーランド など常時100種類以上のワインがそろっている。予算の目安は、夜ならば一人当り5000円。料理とワインの組み合わせにもよるが、多分、この値段で満足感が得られるのではないか。

▽食材の野菜の6割が手づくり
 飯田さんは、徹底的に鎌倉にこだわっている。このこだわりは、彼の「レストラン哲学」に由来する。「レストランは、郷土色がはっきりしていて、自然が近くにあり、食材は出来るだけ自給自足するのが本来の姿だと思っています。都内だと、耕す土地がないから、畑仕事が困難だし、地魚の供給も難しくなります。又、高い地代家賃を料理やワインの売値に反映せざるを得なくなります」

 有言実行の人である。食材の自給自足を目指し、農家から畑を借りて、市内の2ケ所でハーブと野菜を栽培している。鎌倉山リッチョーネ畑はハーブ専用。広さは約160平方メートル。バジリコの仲間を中心に30-40種類栽培している。関谷リッチョーネ畑は野菜専用で、広さは300平方メートル。露地栽培で、年間を通じて30種類の野菜をつくる。冬は葉菜、夏は果菜、春、秋は、根菜がメーン。「お店に出す料理に使う野菜の60%を手づく野菜で賄っています」

▽野菜づくりの腕前もプロ
 野菜づくりの腕前も料理同様、確かだ。プロ顔負けといっていい。野菜は種から蒔いて育てる。おいしい野菜の決め手となる土づくりにも細心の注意を払っている。「土づくりに当たっては、木のチップを醗酵させた堆肥を混ぜ攪拌していきます。調理に使用する備長炭の粉砕したものや灰、それに藁も混ぜ込みます」。化成肥料とか農薬は、必要最低限しか使用しない。動物性の肥料は使わないから、有機、無農薬農法というよりも自然農法に近い。だから関谷リッチョーネ畑で収穫される野菜は甘味があって、かつ安全だ。 今年は記録的な猛暑で、水が不足し、野菜たちにとっては辛い夏だった。飯田さんは早朝、軽トラックに水を入れたタンクを載せて、畑に行き、野菜に散水した。 

 北鎌倉湧水ネットワークの運動に共感してもらっていることも嬉しい限りだ。「アリッチョーネ」のHPの「支配人のこばればなし」(http://www2.ocn.ne.jp/~riccione/main.htm)には、次のように北鎌倉湧水ネットワークを紹介してくれている。
 「…鎌倉市岩瀬では、自噴井戸の探索が進んでいます。鎌倉は、水質が悪いとされてきましたが、山崎、大船、岩瀬、今泉・・・北鎌倉地区に地下170m以上(場所によって200m以上の所もあります。)掘ると水源に当たります。…私も自噴井戸(上総堀り)の水を飲ませて頂き驚くほどの美味しさにビックリしました。故北大路魯山人氏が、山崎に窯を作った時は、自噴井戸が近所に沢山あったはずです。ひいきにしていた豆腐やさん氷屋さんも・・・・・、残念なことは、昭和30年代から、道路、住宅等の整備で判らなくなっている所も下水道に流されていたりしています。何とかおいしい水を生かしたい!天然のミネラルウォーターはすぐ下にあるのです。 北鎌倉湧水ネットワークホームページ  http://www.kitakama-yusui.net/」       
       (了)

手塩にかけたピーマンを
収穫する飯田支配人

色鮮やかなイタリアントマト
珍しい紫インゲン
みずみずしいべイナス


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