RE: 男はなぜ「農」に惹かれるのか(ネット鼎談) ―関心の高さを反映、返信数は過去最多― | |
土と植物を相手にする仕事は、瞑想するのと同じように、魂を解放させてくれるのです―ヘルマン・ヘッセ― 現在、私の最も関心のあるテーマの一つが日本の農業問題です。生まれ、育ちが関係していると思います。私の故郷は、千葉県の銚子市と佐原市の中間、下総大地にあります。近くを利根川が走っています。 実家は代々続いてきた農家ですが、昨秋、後継者不在のまま、農家を継いだ長兄が亡くなり、農家だったと過去形にしなければいけなくなりました。故郷では、実家と同じケースが、あちこちで起きており、帰省する度に耕作放棄された農地が増え、それを見る度に胸が痛みます。 これは私の故郷に限ったことではない、日本の農業は既に崩壊してしまっているのではないか?ならば、再生のために何らかの行動をしなくてはいけないのではないか。そんな問題意識を持って、今回のネット鼎談に参加しました。 ネット鼎談への返信数は、これまで北鎌倉湧水ネットワークのHPに掲載したコンテンツの中では最多でした。「農」への関心の高さの反映だと思います。すべてではありませんが、いただいた返信の要旨を掲載します。今後の自らの ▽男はなぜ「農」に惹かれるのか(ネット鼎談) ▽より深く傷ついているのは男のほうが多いかも それに平野さんの「もっと下世話なところでいえば、一般的な男性は、土くれだった指をした日焼けした田舎女と楚々とした色白の古都の女、どちら を美しいと言いますか?どちらを恋人にしたいと思いますか?古から、男は後者に惹かれることを直感的に知っているから、 田舎はいやだというのです」には参りました。 このようなことは考えてもみませんでした。女性からみても、日焼けした逞しい百姓男と都会のスマートなサラリーマンでは後者に分があるように思います。しかし男がそれでも『農』に惹かれているのは、現代の厳しい管理社会のなかで、より深く傷つき、疎外感をもっている割合は、男のほうが多いのかもしれません。 ▽Aさん(男性)―生き方のスタイルを見直すことにつながるかも― 男一人の余暇の時間の中で簡潔するものではないようですね。この話題、今後もいろいろな可能性があると思います。また楽しみにしております。 ▽Bさん(男性)―土を手に生き返る気持が分かる― ▽Cさん(女性)―都市の農地は汚染されている― 野口さんのお家から今泉クリーンセンターは決して遠くないと思いますが。 実際にどの程度の影響下にあるか知りたくはありませんか?最近、今泉台の市民がカンパを集めて周辺の鉛を測りましたが、かなり高い数値が出ています。 鎌倉市は30年も経ったオンボロ工場を17億円もかけて部分的に修理、2年後に再開しようとしているのを止めさせようとしているグループです。地元の鎌倉市民はこの事実をそのままにして、安全な生活が出来ますか。野口さんがこの問題にも関心を持ってくださることを期待しています。添付の鉛土壌調査の取組みを是非ご覧下さい。 私の現在住んでいる横浜栄区にも鎌倉市との市境にある荒井沢で農家の荒地を借りて開墾し、今ではソバや麦も収獲してお蕎麦やうどんまでも自分達で打って楽しんでいる人達がいます。参加者は増える一方です。ところがこの地、すぐ南の山の向こうにゴミの焼却場があります。 煙突が見えないのでそれと知らずにセッセト堆肥を入れて無農薬栽培の野菜だと、安心して食卓に乗せているのです。2年前にこの畑の近く山の土をカナダの分析機関に送って調べたところ鉛が22μg/g、水銀は0.34μg/gでした。この数値がどれほどのものかは他と比較して説明しないと汚染の程度はわからないかもしれませんね。 鉛は25年間毎日1000トン焼却していた栄工場の敷地の数値の半分強、水銀は栄工場の7倍、今泉クリーンセンター近辺の数値をはるかに上回ります。野口さんのお住まいの北鎌倉はクリーンセンターを挟んで反対側に位置すると思うのですが如何でしょうか。測っていないだけでダイオキシンやその他の様々な有害化学物質が、周辺の空気や水を汚染していることは明らかでしょう。 ▽Dさん(男性)―中学時代の田植え体験が原点― で、別荘仲間5世帯の賛同者をえて、今年から400坪ほど借りて、彼の指導で取組んでいます。畦つくり、田植え、除草等、半分は機械の手を借りましたが、なんとかこなしました。秋田小町が5世帯の一年分を市価の半分ほどで収穫できる予定です。 八ヶ岳と南アルプスが絶景のサイトです。蛙、蛭、蛇、土筆、雉、カルガモ等々、懐かしい出会いもあります。仲間うちで「田んぼ倶楽部」なる名称をつけました。別荘仲間は300世帯あり、私が村長的役割をやっています。 景観保全のためにも今後、耕地を増やしたいと考えていますが、素人の思惑どおりにいくか?私が出た筑駒という学校が駒場にあり、そこに1反ほどの田んぼがあって、中学生は必ず田植えをやらされる伝統があります。 まだ続いています。それが原点です。その昔に帰ったようで、興奮しています。休耕地を借りて無農薬の農園を10世帯ぐらいでやっている仲間もいます。「アグリパーク」といって立派な農作物を時々分けてくれます。 収穫祭もやります。稲の方は、梅雨が長引き、日照が少ないので、伸びが遅い我が子のように、心配しています。長くなりましたが、感想など綴りました。 ▽Eさん(男性)―あくまでも流行にすぎない― もし景気がよくなって、仕事も増え、残業も出来るようになれば、元に戻っていく。そんな風に考えます。もちろん健康不安も戻っている契機となるでしょう。 でも、最終的には、景気がもどれば、ハッキリすることですの、あんまり、今日、現在、推定しても、しかたがない。たとえば、株価が上がれば、景気がよくなるとか、景気がよくなる兆しがあるから株価も上がるとかいわれても、そんな風に社会が動くかどうかは、分からない。 今、分かることは、「既に織り込み済みであった」という、経済通の「後の祭り的な株価談義」が、その時に新聞に載るのだろうな、という経験則くらいで、農の人口が増えたからといって、野菜の市場価格を動かすわけでない。ご本人の一時のお楽しみのために、しているに過ぎないから、市場を動かすほどのことはないからです。 土地を手放したのだから、誰かがそれを手に入れる。その誰かが、たまたま、都会の人(昭和30年頃以降の金の卵)であって、彼が故郷に戻るにすぎない。その子供が、サラリーマン生活10年で、「あこがれの地」(大西部風に言えば、ゴールドラッシュのように、うたかたの夢を求めて新天地に赴く)のと同じで、風向きが変われば、また都会に戻ってくる。 7月27日の日経紙面では、60歳代は、田舎暮らしあこがれ、70歳代になると都会暮らしが好ましくなるようです。ことほどさように、農が好きなのはいいが、それが、何かの時代の表彰というのは、ちょっと、考え物。これが私の感じていることです。 農が、マトモに、利益になる産業であれば、移り住んだ田舎でも、都会並みの医療施設と老後の安心を買うことが出来ますが、どうもそれほどの、ピチピチした、意気込みのある移住者は余り聞かないし、規制緩和も進んでいない。だから、出ていった人の使っていた都会のインフラ設備は、いつまでたっても廃棄処分は出来ないことになる。仮に、それが出来るなら、地価低下傾向を食い止める政策だって可能だと思うのですが。案に相違して、依然と地価は下がり続けています。 ▽Fさん(女性)―水源に1万本のブナを植えています― 八郎潟の水の浄化のために農業者が10年にわたり水源に1万本のブナを植えています。世話をしてくださった農家の相馬喜久男さんのところから米を買い、今日からいただきます。 ふるさとの木が浄化した水でとれた米。木と米を慈しんで育ててくれている人。ロマンを感じながらおいしくいただきます。 ▽Gさん(男性)―実は、「ミニ田」5枚のオ−ナ−です― 八王子方面にある「石坂ファ−ムハウス」へ行き、ブル−ベリ−を摘み旬の野菜とそうめん流しのお昼を頂きます。 石坂ファ−ムハウスは450年続く農家。米、お茶、麦、野菜、果物など100種類を栽培。庭にはニホンミツハチまで飼育している、本来の多様な農業を残す、今となっては全国でも珍しい農家です、と。 ▽Hさん(男性)―農の見直しが日本を救う― ▽Iさん(男性)―生産者と消費者がかけ離れてしまっている― 「生産者と消費者がかけ離れてしまっている」といいましたが、実は生産者も今、消費者の顔が見えなくて、見ようと努力をしている最中です。最近、そんな生産者のために、もっと流通や消費者の素顔を、実態を知ってもらい、どうしたら(よい意味での)「売れる農産物」が作れるか、という観点から、細々と発信し続けているところです。 農業界も構造改革が大いに必要なところなようで、やはり戦後の古い体質をもったJAがまだまだ多いようです。なかには、非常に努力をしていて、改革に邁進しているJA もあるそうです。しかし、編集部にいわせると、それらは全JAの3分の1程度だとか。 ▽Jさん(男性)―野菜作りにはまって、そろそろ30年― 1「鎌倉を良くする」....正しくは「鎌倉を悪くしない」という主旨のシンポジウムで話をすることになり、「水」という切り口で森に代表される鎌倉の自然を担当することになりました。拝見したものから多少引用させせていただきます。 2 農: 私たち夫婦も庭での野菜作りにはまっていて、そろそろ30年経ちます。単純に「可愛い」「美味しい」「緑に浸って」「土とのふれあい」から始まって、いろいろやっていると、「なぜダメなのか」「なぜ上手くいったのか」「温暖化だからこうなってきた」「植物はすごい」「植物は恐い」「植物には負けた」そしてだんだん「これがまさに自然の仕組みだ」ということが判ってきて、今では「有り難い」「もったいない」「すばらしい」「虫さん鳥さんお先にどうぞ」「それにしても美味しい」というところへきました。 3長々と書かずに済むように「...」「...」「...」を並べましたが、お判りいただけると思います。
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