2005
vol17

 第2回団塊サミットin岐阜「地域活動実践に向けて確かな手ごたえ」

―「土日市民」の情報は地域にとって大切な資源」―

団塊世代よ、帰りなん、いざ故郷へ! 
11月19日から20日まで、岐阜県揖斐郡で開催された第2回団塊サミットin岐阜「提案から実践への確実な第一歩」は、記念講演、実践報告とシンポジウムに約140人、歌手・盧佳世さんのライブをメーンにしたコンサートに約180人が参加した。コンサートでは壇上と下で団塊世代のテーマソングともいえる「いちご白書をもう一度」や「青春時代」を大合唱、大いに盛り上がった。
北鎌倉・建長寺から始まった団塊サミットは、岐阜での盛り上がりから判断し、地域活動実践に向けて確かな手ごたえをつかんだといえそうだ。
第3回団塊サミットは丹沢、第4回は相模湖で開催の予定だが、今後の展開が楽しみだ。

▽居場所を探してもう一花、二花咲かせよう
 冒頭、司会役の第2回団塊サミット実行委の小林正美事務局長が、「キーワードは自分の居場所探し。居場所を探してもう一花、二花咲かせよう」と力強く開会宣言。
続いて「この場が確実な実践への第一歩となることを祈りたい」と野口稔・北鎌倉湧水ネットワーク代表が提唱者挨拶をした。
記念講演『地域の力をどう育てるか?〜市民がつくる高齢福祉と耐震補強現場から報告〜』の講師の木谷正道東京都総務局 行政監察室局務担当部長)のホームタウンは、神奈川県平塚市。木谷氏は平塚市で自らが実践している民説民営の近所の宅老所「ひなたぼっこ」(http://www.n-shonan.com/hinatabokko/)でギターの弾き語り、住宅耐震補強活動が柱の「ひらつか防災まちづくりの会」(http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/katsudou/dantai/mac_140.htm)、平塚七夕祭り、「みんなで考える21世紀型寺子屋」プロジェクトなど多彩な地域活動をギター演奏とパワーポイントを織り交ぜて紹介。

▽きっかけは決闘相手からの一本の電話
講演の中で木谷氏は地域活動に関わるきっかけについて「1993年の4月までは典型的な会社人間だったが、小学校の決闘相手からの一本の電話が生き方を変えさせた。『木谷、おれたちもっと地域に関心持たないといかんな』。ぎくりとした。それまでは地域社会が大切としゃべってはいた。しかし、それは言葉だけだった」と明らかにした。
最後に木谷氏は「地域を考えると(地域の外で働く)『土日市民』と、ずっと地域にいる『全日市民』に色分けできる。『土日市民』は地域情報を持たないが、『全日市民』が持たないITや文化などの知識や人脈が豊富。これらは資源であって地域にとっても必要だ。団塊世代の出番がある。この人がいると助かるといわれようになればいい。ただし、会社での習慣は出さない方がいい。どうしても仕切りたくなる。そうすると『全日市民』に嫌われる。地域の力、自分の力、社会の力をともに育てることが大切。行政が悪いとか悪口を言っても始まらない。『地域が所有する行政』という言葉があるがその通りだと思う。自分たちでできることは自分たちでやろう。このことが日本を立て直す大きな力になる」と団塊世代の果たす役割の重要性を強調し、講演を締めくくった。

▽受け入れてもらうには力仕事が一番
 実践報告とシンポジウムではパネリストとして、高橋満治・ぎふいび生活楽校校長、小川敏美・『VIVO』編集長、小林フミ子・風の学校(栃木)主宰者、平野惠子・デジタルガーデン代表ら4人が招かれ、コメンテーターの嶋根繁・早稲田大学 理工学部事務部長の仕切りで、自らの実践報告を行った。
 この中で長崎からはるばるやってきた平野代表が「仕切ろうとしたり、合理的なことを言うと受け入れてもらえない。NPO活動は現在、女性が中心。力仕事をすること。男性が受け入れてもらうにはこれが一番。頭の仕事はだれだってできる。『アッシー君』も喜ばれるはず」と実践的かつ女性ならではのアドバイスを行い、会場の注目を集めた。

▽「悲しみの雨の中で」が団塊世代の応援歌となる予感
コンサートでは盧さんが圧倒的なアンコールの声を受け、「悲しみの雨の中で」で締めた。団塊世代の応援歌となる予感がした。

【悲しみの雨の中で】

僕たちが出逢う 幾つかの悲しみ達

その分 きっと 強くなれるんだ

悲しみの雨の中で 

心が風邪をひきそうになったら

今は そっと 翼を休めていよう

雨上がりの空に

大きな虹が 架かるまで


【団塊サミット提唱者挨拶】
 北鎌倉湧水ネットワーク代表の野口稔です。昨年、北鎌倉・建長寺で第1回団塊サミットを主催しました。主催者挨拶で私は「セカンドライフの一つの選択肢として、そのノウハウを故郷の活性化のために使ってみてはどうかと提案します。故郷の定義は、実際の故郷に限定するのではなく、第二の故郷、あるいはお気に入りの地域、大切に思う場所というふうに拡大して考えたいと思います。『故郷』ににぎわいを取り戻す、言葉をかえれば、『コミュニティ』を復活させるためはどうしたらいいか、本日はじっくりと探ってみたいと思います。『コミュニティ』の復活は、人間としてのコミュニケーションの回復でもあると思います」と提案しました。

▽自らの実践は『北鎌倉の恵み』プロジェクト
 あれから1年。本日の第2回目の団塊サミットは、昨年の提案がどのように実践されたかを確認し、さらに一歩進めるにはどうしたらいいかを話し合う場であると私は認識しております。主催者の小林正美樹庵社長、基調講演をされる木谷正道東京都総務局 行政監察室局務担当部長、パネリストの皆さんの全てが実践者です。楽しみにしております。 
 私は現場主義者です。評論家ではありません。提唱者として私の実践について語りたいと思います。北鎌倉湧水ネットワークの発足のきっかけになったのが北鎌倉の湧水を使った地ビール『北鎌倉の恵み』プロジェクトです。このプロジェクトはNPOの北鎌倉湧水ネットワークと横浜ビール株式会社の異例のジョイントベンチャーです。
 目的は豊かな自然界からの贈り物である湧水を全面に出すことによって、自然環境や景観の大切をアピールするとともに地域の活性化を図ることです。売上高の一部を目的に沿った活動をしている団体に寄付します。本日の団塊サミットにもささやかではありますが、寄付させていただいております。

▽培ってきたノウハウを徹底的につぎ込む
 このプロジェクトは今年6月、「第3回パートナーシップ大賞」の大賞は逸したものの入賞し、記念盾と賞状、副賞として10万円を獲得しました。パートナーシップ大賞は「NPOと企業の協働で実施され、社会にインパクトを与えた特色ある事業」に贈られます。NPO法人パートナーシップ・サポートセンター(PSC、岸田眞代・代表理事)と、さわやか福祉財団(堀田力理事長)が共催し、全国各地から30の協働事業が応募しました。
 「『北鎌倉の恵み』プロジェクト」を除き、応募した協働事業は、市民団体がNPO法人で、パートナーのほとんどが大企業でした。これに対し、鎌倉湧水ネットワークは、コアメンバーが5人の任意団体です。パートナーの横浜ビールも、年間売上高が約1億円の小さな企業です。「『北鎌倉の恵み』プロジェクト」の入賞は、小さな組織と小さな企業であっても、知恵と工夫、熱意があれば評価の対象になりうることを実証したと思います。私は広報や企画面で協力していますが、30年以上にわたって培ってきたノウハウを徹底的につぎ込んでいます。

▽来年の5月、故郷で「レヴィン追悼コンサート」を開催
 現在、北鎌倉六国見山の中腹に住んでいます。実際の故郷は千葉県の下総台地です。農家の6人兄弟の末っ子に生まれました。故郷は後継者不在で元気がありません。この故郷活性化のためにも足を踏み出しました。来年の5月20日、本日のコンサートに出演される盧佳世さんをお招きして、「レヴィン追悼コンサート」を開催します。
 レヴィンは2年前に交通事故により26歳の若さで亡くなった同郷の無名の詩人のニックネームです。HPに膨大な詩を遺していました。今年5月2日の命日に遺作が詩集「レヴィンの系譜」として出版されました。この出版のお手伝いをしました。盧さんは無名の詩人の詩に曲を付けてくれ、歌ってくれています。
 「レヴィン追悼コンサート」の会場は収容人員が400人です。レヴィンの遺族、町役場が全面協力を約束してくれ、既に現地では準備に入っています。満席になることを夢見ています。レヴィンのメッセージは勇気と希望を与えてくれます。私は故郷に賑わいを取り戻すために、詩集「レヴィンの系譜」を故郷の文化財にしたいと思っています。

 それでは、本日の第2回団塊サミットin岐阜が確実な実践への第一歩となることを祈って、提唱者挨拶を終わります。

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