2003
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 北鎌倉マンション建設問題で緊急アピール
      ―「地域の特性を無視」とまちづくり協議会―

 北鎌倉まちづくり協議会はこのほど、北鎌倉マンション建設問題に関する緊急アピールを作成し、地元の報道関係者に説明するとともに鎌倉市にも届けた。
 今回の緊急アピール作成の大きな理由として、不誠実としか、受け止めることのできない事業者側の対応がある。アピールの中にあるように事業者は昨年秋、北鎌倉まちづくり協議会に対し、5階建てのマンション建設計画を打診してきた。
 この際、北鎌倉まちづくり協議会は、事業者に豊かな自然と歴史的な建造物が融合した北鎌倉の都市景観を損ねず、むしろ将来的な北鎌倉の景観形成と発展に役立つようなマンション建設計画への修正を要望した。
 しかし、今年1月中旬にマンション建設予定地の近隣住民に配付された計画案では高さ19メートルを超える6階建てで、50戸のはずが64戸になっていた。CGを使った完成予想図見れば分かるように、デザイン的にも「北鎌倉らしさ」というイメージとはあまりにも懸け離れている。
 同協議会は今後、緊急アピールを山ノ内地区を中心にポステングするなどして、北鎌倉における今回のマンション建設の問題点を多くの市民に理解してもらい、事業者に計画の変更を要請する方針だ。

*同協議会は「北鎌倉をいっそう住みやすく、いっそう魅力あるまちにするために、北鎌倉の住民を はじめ北鎌倉を愛する人々が話し合い、行動する」ことを目的に建築家の呼び掛けで約3年前に発足した。私は創設時からの会員である。

北鎌倉まちづくり協議会
http://www.kitakamakura.org/

【参考】
◎失われゆく北鎌倉の街並み 小泉邸と圓(まどか)荘が取り壊される!
http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/5/x.htm 

◎歴史的建造物の残し方はさまざまー長崎からー 
        Webマガジン・サラリーマンスタイルドットコム代表 平野恵子
http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/8/11.html

◎『副首相の職務権限』で計画却下
http://member.nifty.ne.jp/Kitakama/5/z.html

 
光照寺方面から見た現在のマンション建設予定地を中心とした北鎌倉の景観   sika
マンション計画案をベースにCGを使って作成したマンション建設後の北鎌倉の景観予想図

□北鎌倉マンション建設問題に関する緊急アピール

 今日、北鎌倉と呼ばれる地域は、豊かな自然と長い歴史の中で蓄積された文化との結びつきから生まれる独特の魅力によって、そこを生活の場とする人々ばかりでなく、日本の、いや、世界の各地から訪れる多くの人々に愛され、親しまれてきました。
 この北鎌倉の魅力をスクリーンを通じて広く世に伝えた映画監督小津安二郎の生誕からちょうど百年目に当たる今年、北鎌倉を愛する人々にとって無関心でいることのできない事態が生じています。この事態を黙視し、放置するならば、北鎌倉の「北鎌倉らしさ」は決定的に損なわれると言っても過言ではありません。
「北鎌倉らしさ」の一つの象徴とも言うべき権兵衛踏切に隣接する土地(鎌倉市山ノ内字宮下小路571番9他。現在、その主要部分は小泉邸の敷地)に新たにマンションを建設する計画があることは昨年から伝えられていましたが、今年1月半ば過ぎに至って、事業主から近隣に住む人々に対し説明資料が配布されました。
 この資料によると、建設が計画されているのは高さ19メートル余の6階建てマンションです(昨年秋に北鎌倉まちづくり協議会に対してなされた説明では5階建てということになっていたにもかかわらず)。このマンションが計画どおり建設されれば北鎌倉の景観が一変することは避けられません。そのことを含めて私たちが残念でならないのは、北鎌倉の「北鎌倉らしさ」を可能な限り損なわないように配慮し、設計その他に工夫を凝らした形跡が建設計画の中にほとんどまったくと言ってよいほど見られず、地域の特性を無視して一般的な経済効率を追求しただけの計画になってしまっていることです。
 事業主がこの建設計画をこのままの形で推し進めることは、新たに建設されるマンションに入居する人々をも結果的に裏切ることになるのではないでしょうか。これから北鎌倉に住みたいと考える人々の大多数は、とにかく「北鎌倉」と呼ばれる土地に住みさえすればよいというのではなく、あくまで「北鎌倉らしさ」の損なわれない、魅力ある北鎌倉に住みたいと考えているに違いないからです。
 事業主から配布された「御近隣の皆様へ」と題する文書は、計画概要、現場管理、作業時間及び休日、騒音・振動防止策、危険防止施設、周辺建物の保全、電波障害対策、の諸項目について説明した後、最後に「上記以外の問題や御近隣の苦情等につきましても、誠意をもってその都度協議のうえ対策を講じ、解決に努めます。」と述べています。「上記以外の問題」の最たるものは、新たな建築によって北鎌倉の「北鎌倉らしさ」が大きく損なわれることを防ぐには何が必要か、という問題ではないでしょうか。
 私たちは、事業主から直接に説明資料の配布を受けた近隣住民の枠を超えて、北鎌倉を愛するすべての人々に対し、この問題を共通の問題として話し合い、必要な行動に向けて協力するためのネットワークをつくることを呼びかけたいと思います。
 個人・団体を問わず、積極的にご意見をお寄せいただければ幸いです。
 
 2003年 2月 19日           
 北鎌倉まちづくり協議会 
 小泉邸跡マンション部会 部会長 斉藤博子
 電話/FAX 0467-22-4693




                                                   (了)

 

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