鎌倉の市民団体「鎌倉市民同窓会」(藤井経三郎代表)は、1月18日から鎌倉市岩瀬の「いわせ下関青少年広場」で、昔ながらの「上総掘り」による自噴井戸の掘削を始めました。あまり知られていませんが、深い緑に包まれた北鎌倉には、北鎌倉駅から、台、小袋谷、大船、岩瀬、今泉方面にかけて、今も自噴井戸が約200ヵ所もあり、日々の生活に役立っています。円覚寺裏山の六国見山(ろっこくけんざん、高さ147メートル)の降った雨が、地中に深く浸透し、低地に流れていき、貴重な水源になっているのです。
鎌倉市民同窓会は、北鎌倉地区の豊富な湧水を使って「安らぎと潤いのある街づくり」を目指し、シンポジウムや湧水ウオークを開催してきました。しかし、自噴井戸はほとんどが個人のもので、一般市民や観光客が井戸水を飲んだり、触れたりすることはできませんでした。そこで、だれでも自由に出入りできる自前の自噴井戸を掘ろうと計画し、環境庁の外郭団体から150万円の助成金を受け、掘削を始めました。
工法は千葉県上総(かずさ)地方で考案され、普及した深井戸掘りの技術である「上総掘り」で、会員の鍛冶職人、大工、竹材店主が、協力しています。工期は約3週間で、約100メートルくらい掘れば、飲み水が出てくるのではないかと見られています。鎌倉市民同窓会では「湧水が出てくるようになれば、泉以外にも小さな池や水路を整備し、メダカやザリガニなどが生息できるようにしたい。さらに災害時井戸としての利用も考えている」と話しています。2月4日(日)の見学会には、約100人もの市民が集まりました。
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▲上総掘りの見学会 いわせ下関青少年広場 2001.2.4
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